毎年、静かに感動している現場に今年もうかがうことができました。

社内のサステナブルな取り組みをうかがう「サスティナブル・ストーリー」を担当させていただいてる時計のセイコーグループ。2011年の東日本大震災発生後すぐから、被災地支援を続けています。

被災地のフェーズが変化するごとに柔軟に寄り添い続け、震災から12年が経過した今も続いているのが、東日本応援コンサートです。

(服部CEO自らがコンサートの実行委員長。すごい)

このコンサートは、震災当初、音楽家で2018年に鬼籍に入られた前田憲男さんのご意志で始まった活動であるため、その思いを受け継ぐ名だたるプロフェッショナルたちがステージに登場します。

さらに、セイコーグループの服部CEO自らもマイクを持って歌い、社員さんたちの部活動だという合唱とダンスのグループもステージを飾ります。誰もが真剣で、でも同社らしい優しさと真面目さがある。しかも会場や音響設備はマジでガチのプロ仕様という、アットホームさを内包した超豪華なコンサートなです。

なのにプレスリリースでの告知で全席埋まってしまうため、後から出演者さんのSNSに「知らなかった」とコメントしているファンの方を見ることもしばしば。

2023年の”わ”コン

今年の司会を担当されたアナウンサー・松本 志のぶさんが、当日の様子をインスタに投稿されていました。

ご覧ください、この豪華な並びを。

中央の可憐な女性は、ウクライナご出身のオペラ歌手、オクサーナ・ステパニュックさん。後列中央に八代亜紀さん、渡辺真知子さん、コーラスグループ「サーカス」の4人、司会の松本さん、一番後ろで手を広げてるのは、女優・のんさん、一番手前は作曲家でピアニストの宮川彬良さん。宮川さんはこの日、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団によるフルオーケストラを束ねて音楽監修・指揮を担当していました。

司会の松本さんは元日本テレビのアナウンサー、オクサーナさんは音楽一家にお生まれでウクライナ政府から表彰される音楽家、その他の皆さんは全員が紅白出場経験者。そうです、誤解を恐れずに言えば、全員が「テレビの中のひと」です。

そんなプロ中のプロに言うのは失礼かもしれませんが、それでも言わずにいられないのが、皆さんの圧倒的なステージ力、歌唱力の素晴らしさ。冒頭でに書いた「感動」は主にここです。だって本当にすごいから。

特に厚みのあるコーラスのサーカスさんや、八代亜紀さん、渡辺真知子さんなど、私が生まれた時にはすでにプロの歌手だった方々の歌唱力ときたら、すさまじいです。パワフルで力づよい。安定感があって頼もしい。目を逸せないほどに輝いていて眩しい存在。あぁ、スターってこういうことなんだと、光の中を歩んで来られた皆さんを尊い気持ちで見つめてしまうのでした。

ライターとしての役割

今年も私の役割はインタビュアー。分刻みで移動される皆さんのステージの合間を縫って、コメントをいただく役です。

取材は細切れで、ほんの数分ずつしか許されていません。その中で決められた質問はあるし、岩手のテレビ局のカメラにご一緒させてもらうので、映像に使えるようスムーズな回答を引き出したい。慌てず、でも時間通りに。演者の方にはこの後のステージのためにも気分良くあってほしい。

そんなさまざまな考えが脳の中をぐるぐる回り、且つ、show must go onな現場ならではの小さな変更もある中で(とはいえほぼない)時間になると、これまで画面上でしか見たことなかった方が、舞台裏の廊下を一歩ずつこちらに近づいてくるわけです。

ま、まぶしい…

選ばれし存在としてスイッチがonになった方は、本当にからだの内側から光を放っているように輝いているんですね。しかし10数メートルの廊下を歩きながら、その光のトーンを徐々に落とし、私の目の前のバミられた立ち位置に立つ時にはニュートラルな光に変わっています。

そのおかげもあって、わたしの緊張は瞬間的に、まったく何事もなかったように消え去ってくれます。

これ、毎回感じてることですが、本当に不思議です。なんなら前日の晩とか当日の朝がいちばん緊張してるくらい、ご本人を前にするとサーっと緊張が消えて、普通に声が出る。おそらく、スターの方々は(もしかしたら無意識レベルで)「同じ目的のためにその場を共にするプロとして、相手もベストなパフォーマンスができる状態にあることを願う」わけで、そのおかげなんだろうと感じました。本質的な存在がもつ影響力は、こうも優しいものなんですね。

しかも皆さんとても優しくて丁寧。きちんと「自分の言葉」で答えてくださることが染み入ります。ときどき文字起こししながら、いい話だなぁと思うとひとりで何度も繰り返して聞くこともあるほど笑。

それと、プロと一緒に歌い上げるCEOの歌唱力にも毎回ひそかに感動しています。今年のCEOの選曲には、スティービー・ワンダーの「A Place In The Sun」、去年は確か「Put Your Head on My Shoulder」など、個人的に好きな曲も多いのです。来年は何かなぁ。

そう、すでに来年、2024年の開催も決定しています。最後にお知らせされた来年の日程を含め、今年のレポートもぜひご覧ください。

次世代にも笑顔でつなぐ、3月11日のこと。“わ”で奏でる東日本応援コンサート2023 in東京開催

セイコーグループ

投稿者プロフィール

柳澤円
柳澤 円(やなぎさわまどか)
ライター/コピーライティング/翻訳マネジメント
社会課題と暮らしのつながりを取材し、複数媒体にて執筆。主な関心領域は食・農・環境・ジェンダー・デモクラシー・映画。企業の制作物なども実績多数。
10代からの留学を含む海外生活後、都内のコンサルタント企業でナショナルクライアントの発信を担当。多忙ながら充実の日々は2011年3月に東日本大震災を経験したことで一変、兼ねてより願っていた自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。神奈川県内の中山間地へ移り、フリーランスライターを経て2019年、夫・史樹と共に株式会社TwoDoors設立、代表就任。取材執筆のかたわらで自家菜園と季節の手仕事など、環境負荷の少ない暮らしを実践する。書き手として、心の機微に気づく感性でい続けることを願い、愛猫の名はきび。