出会いは2012年。

当時の私たちは、福島第一原発の事故とその影響に衝撃を受け、原発のようなものに頼らないエネルギーやライフスタイルについて、猛烈に情報を吸収していたときでした。気持ちは常に、それまで何も考えていなかったことへの自責と、将来の持続可能な社会を実現する可能性に掛ける思いでいっぱい。少しでも話を聞ける人がいたら会いに行き、読める本はかき集め、自分たちに必要なものはなんだろうと模索していた時です。

その頃、太陽光エネルギーで充電したバッテリーを使い、その電力で映画上映会をするという試みを続けていました。ほんのひと時、小さな空間だけでも自然エネルギー「だけ」で過ごす体験をみんなで分かち合う。そのために「太陽光パネルとバッテリー持ってるよ」とご協力くださったのは横浜のお魚屋さん、瀧澤博さんでした(今も不定期で映画上映会を続けていらっしゃいます)

そのパネルとバッテリーの販売をしていのが、環境NPOエコロジーオンライン。代表の上岡裕さんが横浜までお越しくださり、トークを交えた上映会を行った際に、「まどかさんはきっと好きだと思うよ」と、出たばかりの書籍を紹介してくれました。

それが『ロラン島のエコ・チャレンジ』。デンマーク・ロラン島在住のニールセン北村朋子さんに出会えた最初のきっかけです。

(10年以上愛読を重ねた本は、いい感じにエイジングされてきました)

この本に衝撃を受けて、いつかデンマークに行く!と思いながらも、その前に朋子さんの発信する情報を拝読したり、オンライン上でやり取りさせていただいたり、イベントでデンマークの事例を紹介するためにお世話になったり、という交流を経て、やっとロラン島を訪ねることができたのが2016年。

(朋子さんにたくさんお世話になった、充実の学びの旅でした)

以来、朋子さんが帰国されると食事に行ったり、イベント先に参加したり、寺田本家で一緒に田植えしたりもしました笑。あと、朋子さんがgreenz.jpで連載するコラム記事のディレクションも担当しています。

と、敬愛してやまない朋子さんに、なんと仕事としてインタビューする機会に恵まれました(嬉しい!)

この連載「わたしたちの暮らしを守るエネルギー」は、消費者側から政府・行政に日常の課題を提起していくことを応援する経済界の連合団体「国民生活産業・消費者団体連合会」、略して(経団連ならぬ)生団連にサポートいただきながら、特に、日常生活におけるエネルギー問題にフォーカスしています。

エネルギー問題を考えるためのキーワードは、「いかに自分事にできるか」ということだと思うんです

そう考えたディレクターの福井尚子さん(a.k.a.なこさん)は、かつて国民からの要望によって原発の建設を取りやめたデンマークという国に注目したのでした。

そこで朋子さんに取材を依頼し、さらにわたしにライターのアサインをくれたのです。なんと素晴らしい!なこさんの采配に、感謝!!

しかもなこさんの編集はとても丁寧で、しかもすごく褒めてくれるので笑、私はご一緒するたびにしみじみと幸せを感じています。

この取材を通して実感したこと

朋子さんの話をまとめながら考えていたのは、Think globally, act locally.(地球規模で考え、地域で行動すること)の重要性でした。それも、世界の動きにただ委ねるのではなく、傾向を読みながらも己の信念に沿った選択ができること、その時ちゃんと地に足がついていること、そして自分の半径数メートルの世界を確実に守れること。そんな自分でいられることは、エネルギー問題に限らず、快適に生きるために必要なスキルなんだ、と気付かされたのです。

読み応えたっぷりのインタビュー、ぜひご覧ください。
この記事を使って、身近な人とエネルギーについて話しあうきっかけにしてもらえたら、最高に嬉しいです。

電気だけじゃない、みんなのエネルギー問題。電力自給率800%超のデンマーク・ロラン島に暮らすニールセン北村朋子さんに聞く、今すぐ日本でできること

greenz.jp(写真:八幡宏)

投稿者プロフィール

柳澤円
柳澤 円(やなぎさわまどか)
ライター/コピーライティング/翻訳マネジメント
社会課題と暮らしのつながりを取材し、複数媒体にて執筆。主な関心領域は食・農・環境・ジェンダー・デモクラシー・映画。企業の制作物なども実績多数。
10代からの留学を含む海外生活後、都内のコンサルタント企業でナショナルクライアントの発信を担当。多忙ながら充実の日々は2011年3月に東日本大震災を経験したことで一変、兼ねてより願っていた自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。神奈川県内の中山間地へ移り、フリーランスライターを経て2019年、夫・史樹と共に株式会社TwoDoors設立、代表就任。取材執筆のかたわらで自家菜園と季節の手仕事など、環境負荷の少ない暮らしを実践する。書き手として、心の機微に気づく感性でい続けることを願い、愛猫の名はきび。