先日、出来上がった記念冊子をいただきに寺田本家にお邪魔しました。
お仕事でお世話になっている他、当主の優さんに都内やイベントなどでお会いしたり、聡美さんの料理本を参考にしたり、寺田さんの日本酒や酒粕を飲んだり食べたりと、ファンのひとりとして普段から日常的に寺田本家を感じることは多いものの、蔵へお邪魔するのは4年ぶりでした。
まずは「発酵暮らし研究所」へ。寺田本家や神崎の食材を味わうことができる「Café うふふ」が併設された、聡美さんのお店です。


これこれ、これです、食べたかった味わい!聡美さんのレシピ本をコンプリートしてるファンなので自炊もするのですが、やはり本家本元のオリジンをいただかないと。
ご飯は、市内で不耕起栽培されている農家さんのお米と黒米、そこに米糠ふりかけと蕗味噌。
おかずは、お向かいにある「月のとうふ」のお豆腐に、甘酒のソムタム、根菜とおからの甘酒煮、車麩の甘酒バーベキューソース、クスクスの塩麹サラダ、玄米酒粕の大根餅、糠漬け、うふふのモト入り即席キムチ。そして酒粕入りカブのポタージュも!
もう何から何まで最高。じんわり体に染み入る優しさとおいしさです。永遠に食べていたい。聡美さんに少しアドバイスもいただいたので、自宅の糠床にも「うふふのモト」を入れてみようと思います。
途中、優さんがお店にいらしたのでしばしご挨拶し、さらに蔵人の瀬戸さんと、今シーズン参加されているというコウジさんもお昼タイムということで、初めてながらも、いろんなお話をしながら楽しくご一緒させていただきました。
聞けば瀬戸さんは、インスタで拝見していた小豆島での木桶作りをされていたとのこと。ついつい木桶に関してあれやこれや質問攻めにするも、いろいろ優しく教えてくれました。

コウジさんは、将来の起業に向けて日常的にパンを焼いてるとのこと。酒種を使い、寺田本家の皆さんにいつも焼いて届けているそうで、なんと聡美さんに届けた食パンを私にまで分けてくれました。皆さんと”同じ釜のパン”を味わえるなんて、幸せです。いつか福岡で開業されたらぜひともお邪魔したい。


聡美さんも忙しい中お話してくれて、皆さんの優しさと穏やかな空気感にすっぽり包まれて、お腹も心も大満足。
でも今回お邪魔した目的は、翻訳のやりとりでお世話になった山口さんにお会いして、冊子や書類などを受け取り、さらに蔵見学させてもらうことです。
実は当初、いつも翻訳を担当しているチームメンバーをご紹介するはずがどうしても都合があわなくなり、ではお料理家さんとご一緒しようと予定したところ、都内の積雪により急遽わたくし一人でお邪魔することになったこの日。役得の極みです、ありがたや。
ということで事務所にお邪魔し、ご挨拶をして、蔵見学へ!









蔵見学の後、試飲をさせていただきつつ山口さんにお話をうかがいます。記念すべき年の予定や取り組みなどを聞きながら、こうしてわずかながらでも関わらせてもらえることがなんともありがたい。
「これからも、いい仕事でお役に立てることができるように精進していこう」としみじみ何度も思いました。
この時点で半分くらい酔っ払っていて、まるでおいしいところに飲みに来た遠足みたいな気分になりそうでしたが、これもお仕事であることを思い出し、本当に我ながらまじで役得だとありがたさが込み上げるのです。
あともうひとつ、この日改めて感じたのは、瀬戸さんもコウジさんも山口さんも、スタッフの皆さんがものすんんんごく楽しそうに働いている、ということでした。
実際聞くと、「どんな仕事も楽しい」「毎日が最高です」「仕事に来ることが楽しく仕方ない」「田んぼの草取りも楽しい、どんどんやります」とにこにこしながら言う皆さん。本当にすごい、やりたい仕事に就けるって尊いことだなぁと思いました。
きっと当主の優さん、聡美さん、久しぶりに少しだけご挨拶できた八重樫さん、初めてお会いできたさつきさんも、皆さんの落ち着いた安定感ある雰囲気の背景には、やりがいと楽しさに満ちたお仕事があるんだろうと想像します。
帰りの電車でそんなことを考えながら、改めて読んだのがこちらの寺田本家の家訓でした。

素直で優しくて謙虚で、でも毎日とにかく楽しくはたらく寺田本家に、そりゃ人が集まるし、飲んでうれしいお酒ができあがるし、これだけ愛されるのも納得。まさに『発酵道』で歩むことを実践されているのでした。
引き続き、350周年の寺田本家も楽しみにしています。

投稿者プロフィール
- 柳澤 円(やなぎさわまどか)▷ライター/ 編集/ 翻訳マネジメント。主な執筆分野は食・農・環境問題・暮らし▷10代後半から留学を含む海外生活を続け23歳で帰国。英会話スクールの運営に携わったのち都内のコンサル企業に転職。ナショナルクライアントを担当する充実の日々も2011年3月東日本大震災で価値観が一変し、より自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。現在は夫・史樹と共に、横浜から神奈川県内の中山間地へ移り、取材や執筆、編集の傍ら、自家菜園を中心とした自然食と手仕事に勤しむ日々。愛猫の名前はきび。
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