タイトルで言いたいことの9割が完了してしまった…でもせっかく質問してくれた方いるので、ウチでやってることを書こう。
このきっかけは「環境のために肉食を減らしたい」けど「普段そんなに料理しない」というAちゃんとの雑談だった。環境問題に取り組む仲間として信頼して質問してくれたことがありがたく、真剣に話を聞いた。
彼女のお悩みをまとめるとこんな感じ。
・自炊の回数を増やすためにも、毎週月曜のミートフリーマンデーを習慣化したい
・でも料理のレパートリーが少ないので、今のところ月曜はパンかカット野菜ばかり。圧倒的なボリューム不足。
・できれば、ごはん・汁物・おかずの定食型でもりもり食べたい。
・楽しくないので月曜が苦痛になりそう。
(*Meat Free Monday ミートフリーマンデーとは、健康や環境のために週1日・月曜日だけは動物性食品を摂らずに過ごそう、という世界的ムーブメントのこと)
基本的にわたしは「無理すぎることはしない方がいい」と思っているたちなので、いきなりベジになる!と決意する前に、週1からと決めた彼女のステップを応援したくなった。それにきっと、同じようなことを考えながらもなかなか習慣化できずにいる人も多い気がしたし。
そしたら彼女がこう言う。
「やっぱり大豆ミートを買った方がいいですよね?」
都心のシェアハウス在住なので買うお店には困らないみたいだけど、ただひとつの懸念は「前に食べさせてもらったときの印象が可もなく不可もなくだったので、毎週のお楽しみにできるかな」と言う。
うん、うん、そうなの、そうなのよ。大豆ミートの類って、使う時にちょっとしたコツが必要なのよね。大したテクじゃないけど、何もせずあのまま調理すればおいしいってものでもない。フェイクミートは全然否定しないし、ありがたいことにいただくことが多いのでウチもだいたい常備してるし、毎回おいしく食べてもいる。でも、自炊&ベジのビギナー向きかと言われたら賛同しきれないのが本音だ。
もうちょっと言うと、「お肉を食べる量を減らしたい」のに「お肉みたいなものを求める」ってところがどうにも解せない。繰り返すけど、無理はしない方がいいと思うタイプなので、お肉を食べたいと思うならば、無理せずに安全で健全に精肉されたものを大切にいただくのが正解だと思う。
このベジ思考については、もう散々いろんなところを何周もグルグルまわり、自分の体でも気が済むまで色々試した結果、今のわたしは、「命をいただくという意味において動物性も植物性も変わらない」という持論に行き着いている。サステナブルの意味を自分なりに突きつめていくと、たとえ自分と違う意見に出会ったときも喧嘩腰にぶつかるような気持ちには一切ならない。ベジ民こそピースであれと心から願うよ。
というわけで、フェイクミートよりもオススメしたい、これが効いてれば野菜だけでめちゃ満足感が上がる便利アイテムの3つについてもう少し書きます。
にんにく
いわゆるガッツリ系フードに多用されているように、にんにくの香りには食欲を増すはたらきが大きい。ほんの少し刻んで使うだけでも肉なしの料理、たとえば、野菜だけの炒めもの、トマトのパスタ、豆のカレー、豆腐のハンバーグなどにもグンとボリューム感がでる。せっかくなので味のよさを求めてチューブではなく生のにんにくを買おう。
とはいえ、丸々1個にんにく使い切るのはけっこう大変なので、ウチでは2〜3片を刻んで小瓶に入れ、醤油漬けとオイル漬けを常備してる。こんな感じ。
使う時はフライパンに、瓶の中のにんにく1〜2スライスをぴらっと入れて油をひく。刻んだ野菜を炒めて、最後にお醤油ダーッと絡めたら立派な野菜炒めだ。間違いなくご飯はすすむ。
ちなみにウチの夫もこの数年、ちゃちゃちゃーっと料理をつくるスキルが爆上がりしていて、トマト缶とかをうまく使いつつ、このにんにくでパスタとかつくってくれるので本気でめちゃくちゃ助かってます。
また、もっと手軽なのがいい人にオススメなのは、市販品でオーガニックのにんにくペーストを使うこと。ツイート画像にもあるように私もときどき使ってるけど、これ1瓶あれば相当お役立ちで重宝する。
この、「にんにくが効いていると野菜だけでも十分おいしい」論は、醤油と併用することで、中華系の料理にはだいたい応用できる。野菜や豆腐に、にんにくと醤油を効かせて餃子の皮に包んで焼くのが楽しくなれば、あなたも立派なベジ実践者。間違いない。
燻製オイル
続いてアイテム2つ目はこちら。その名の通り、燻製させた油で、ベーコンみたいな香りがするもの。例えばこの燻製オイルでチャーハンをつくると、ご飯と刻み野菜だけなのにベーコンが入ってるみたいなヘビー感が加わる。人参、茄子、じゃがいも、玉ねぎなどBBQでおなじみのグリル野菜にぐるっと掛けるとご飯が欲しくなるし、それをパンに挟んだサンドイッチはホットドック感もある。お豆やナッツに合えるも良し。ベジ食のインダストリアル化。
ウチで使ってる燻製油は、以前取材でお世話になった長野の菜種農家「自然農園ゆいま〜る」大田圭一郎さんのweb storeで買えるもの。大田さんはタネから菜種を栽培して油を作る日本で唯一の「油農家」で、彼の油は透明感があってベタベタしつこくなく、とてもおいしい菜種油。それをさらに燻製したバージョンだ。
ブラックソルト
そして最後。3つめは、前にツイートもしたけど、ミネラルが高い天然の岩塩で、硫黄の香りがするお塩。通称ブラックソルト。
硫黄の香りとはつまり、茹でたまごの香り。葉野菜(ルッコラとか春菊とか少し癖のある野菜が特にオススメ)にパラパラと掛ければ、何かもう一品増えたサラダみたいになるし、スープや雑炊を作る時に使うとたまご感のある味わいになる。チヂミや焼きそば等の粉物&焼き調理、蒸し野菜、豆腐や天ぷらに掛けるのもいい。使い慣れてくると、ふだんの塩と併用することでたまご感の強弱がつけられたり、遊びっぽく楽しめる。この味、ハマる人はハマるよ。
つまりはベジ自炊のコツは、食材よりも調味料を楽しもう、ということだ。私がいつも推しまくってる・味噌・醤油・みりんはもちろん本物がおいしいので、あまり良いお野菜がないときでも満足度を上げてくれるし、今日書いたこの3つみたいな香味や変わりダネ調味料も使えたら、お肉なしの・野菜・豆腐・穀物でご飯がもりもり食べられるがっつり系の食事ができる。
誰かとシェアすることできっと、ミートフリーマンデーも楽しくなるよ。
ちなみにAちゃんに伝えた、ウチの「厚揚げの唐揚げ」はこちら。
(※元ネタは千葉県いすみにあるブラウンズフィールドの中島デコさんがおしゃべりしてる時に教えてくれたもの。自己流にしちゃってます。デコさんのレシピ本もたくさんベジ料理のコツが詰まってるので是非!)
厚揚げは元から”お豆腐を揚げた状態”なので、その衣に、下味をしっかりつけて唐揚げにする、ということ。
お豆腐や厚揚げって、日本にいる限りどこでも気軽に買えるのが良いよね。個人的に選ぶ基準は、国産大豆、消泡剤ナシ、をチェックしている。
↓ヤマキ醸造さんはわりと普通のスーパーとかにも置いてくれててありがたい。
自炊を定着化させるには、手軽でおいしくて、新たに買い揃えるものが少ないことも重要だと思うので、これなら、帰り道に厚揚げが買えて、家にお醤油とにんにくと片栗粉があればすぐできる。
それに何と言っても、衣をカリッとさせるだけでOKという調理の簡単さが良い。たくさん油を使わず「揚げ焼き」でつくれるので、揚げ物が苦手な人にもつくりやすいと思う。鶏肉の唐揚げは中心まで火が入ったか心配になるけど、お豆腐なので、別に火が通ってなくても食べられる。めっちゃ手軽で、困った時の優秀逸品レシピ。
- 厚揚げを袋から出したら全面的に熱湯を掛けるか、ひたひたの熱湯で一回湯通しして、余計な油を流す。
- 手で適当な大きさにちぎる。
- バッドに、にんにく1/2片くらい、醤油 大2、あれば生姜も少し入れて、2.を浸して染み込ませる
- 片栗粉をまぶして、1cmくらい油を入れたフライパンで揚げ焼きにする
これ本当に簡単で、お腹いっぱいボリューム満点のベジメニュー。確かデコさんは、この唐揚げにソイマヨネーズを掛けてご飯で巻いたsushiブリトーが海外のワークショップで喜ばれたと教えてくれたっけ。
少しの工夫だけでベジ料理の楽しみ方は一気に増やせる。慣れてきたらきっと、どんどん勝手に広がっていく世界を楽しんでほしい。
気負いすぎる必要はないけど、ひとりでも多くのミートフリーマンデー(なん曜日でもいいけど)仲間が増えることを願って。
投稿者プロフィール
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柳澤 円(やなぎさわまどか)
ライター/コピーライティング/翻訳マネジメント
社会課題と暮らしのつながりを取材し、複数媒体にて執筆。主な関心領域は食・農・環境・ジェンダー・デモクラシー・映画。企業の制作物なども実績多数。
10代からの留学を含む海外生活後、都内のコンサルタント企業でナショナルクライアントの発信を担当。多忙ながら充実の日々は2011年3月に東日本大震災を経験したことで一変、兼ねてより願っていた自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。神奈川県内の中山間地へ移り、フリーランスライターを経て2019年、夫・史樹と共に株式会社TwoDoors設立、代表就任。取材執筆のかたわらで自家菜園と季節の手仕事など、環境負荷の少ない暮らしを実践する。書き手として、心の機微に気づく感性でい続けることを願い、愛猫の名はきび。