「どうやって自分史を仕事にしようか」という最初のカベ
晴れて自分史活用アドバイザーになった私のデビュー戦は、2017年4月に協議会横浜支部の主催で開催された「自分史フェスティバル in YOKOHAMA」での30分のミニ講座だったのだが、このデビュー戦について書く前に、少しだけその経緯に触れておきたい。
これまで自分史というのは「シニアが自らの人生を振り返って残す書籍」というかたちで世の中に伝わってきたし、それは今でもこの言葉を表す意味としては正しい。
現在は自費出版で年間数千冊にもおよぶ自分史が発刊されているほか、各地に「自分史センター」とよばれる、自分史を蔵書として閲覧できる場所も、地方自治体や私企業によって開設されている。
また、国会図書館にもその自分史は登録することが可能で、これは日本国がある限り半永久的に保存されるものなのだ。
とはいえ、いきなり自分史の出版を仕事にできるわけでもない。
営業はどうしようか、価格設定はどうしようか、など、先輩のアドバイザーに意見を聞いたり、自分なりに考えたすえ「一人の人の出版をお手伝いする仕事よりも、私が考えている自分史の価値を多くの人に知ってもらうための講座を中心にしよう」と決めたのだった。
その意味において、デビューの機会をミニ講座というかたちで与えてもらったことには感謝しかない。
かくして、私のデビュー戦は決まったのだった。
ミニ講座のテーマは「ターニングポイント」に決定
そこでミニ講座のテーマをどうしようかと考え、タイトルを「ターニングポイントをコトバにしよう」とした。
参加者のそれぞれの「ターニングポイント」はなんだったのかと振り返り、言葉化して発表してもらうというものだ。
自分史は、自分だけがわかっていることを、他者に作品として伝えるという視点が重要だが、かといって自分のことを自画自賛するだけの「自慢史」では、人の心に響くことはない。
大事なのは「自分の人生の軌跡をどう客観的に捉え、人に伝える作品として言葉化できるか」という点なのだ。
いよいよ当日。来場者が会場にどんどんと集まってくる。
このフェスティバルでは「1枚の自分史」といって、1枚の写真に基づいたシンプルな自分史が100枚以上も展示されているコーナーもあり、それを見にたくさんの人が来場していた。
その会場の様子に私は少し呑まれた。
「私の講座など受けてくれる人がいるんだろうか…」
少し心配だったが、ありがたいことに予約の6名は開始時間になるとあっという間に満員になった。
必死に準備した私の資料を読みながら、参加者は紙に書いた自らのターニングポイントを、一人ずつ読み上げてくれた。
ある人は照れくさそうに、ある人は誇らしげに、またある人はしみじみと。
互いに知らない参加者同士が揃ったそのテーブルには、発表する人の人生に思いを馳せ、互いに生きてきたことの価値をを共有しあうというあたたかい空気に包まれていた。
私も同じように発表を聞きながら、心の底があったかくなるような思いを感じていた。
「仮にも私が教える立場であるのに、なぜかそれぞれの人に教えてもらっている…」
このときのなんとも言えない充足感は、今でも自分史講座をやるたびに感じる。
「自分史は、それぞれ一人ひとりに価値を自覚するとともに、他者をも励まし、元気にするものなのだ」
私はこの経験を通じて、それまで以上に、この自分史を広めていくことの意味と価値を感じることができた。
このデビュー経験が、私の自分史活用アドバイザーとしてひとつの「ターニングポイント」だったのだろうと思う。
しかし今思い返して書いてみると、まだたったの2年半前の話しだということに、改めて驚く。
「自分史をやろう」と決めて動き出した私が、この2年半がどれだけ濃く充実しているのか、これを書いてみて改めて感じるのだ。
ぜひみなさんも、熱や思いをもって日々取り組んできたことを振り返ってみてほしい。
振り返ることでその価値に気づくことができるのも自分史のすばらしい点だから。
(不定期に続く)
投稿者プロフィール
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株式会社 Two Doors 代表社員。
一般社団法人 自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザー。
企業研修プログラム「マインドフルカフェ」メンバー。
ライター・編集・プランナーとしても活動中。
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早川真
2017夏の「ターニング・ポイント」(原宿で自分史活用推進協議会が本部フェスティバルとしてやった)は柳澤さんが招いたパネリストたちによって、大成功だったと思いますが、その前段として、このミニ講座があったのですね。
Fumiki Yanagisawa
早川さん ご高覧いただきありがとうございます!そうなんです。すんなりデビューを飾らせてもらい感謝に堪えません。
早川真
やったね!!