もう随分長いこと(といっても数週間か)誰かと人生観を語らう時間をもてていませんが、お仕事をご一緒させていただく多業界の様々な年代の方に近況を聞くに、やはり多くの方が”アフターコロナ”に向けて思考を巡らしている様子。
不安もあるけど、どうにかせねば。
大変だけど考えなくっちゃ。
国に頼れないから自分でできることを。
色んな意見が聞こえてくるたび、賛同したり、疑問を返したり、だまって受け止めたりしています。
今日は、意見や考えの交錯を肯定的に捉えているひとりとして、どうか人生の90分をこの映画に費やしてほしいと願って、このブログを書きます。
その映画とは『たねと私の旅』、個人的にも特別な思い入れのある大切な映画です。予告編はこちら↓
遺伝子組み換え食品、ゲノム編集食品、食品添加物、農薬、化学肥料、あとはえーっと、何があるかな。人間誰しも生きるためには食べることが欠かせない一方で、なぜか食にまつわる不安要素は尽きません。
特に遺伝子組み換え食品については、他国と違ってアメリカ・カナダでは食品に表示義務がなく、疑問をもって立ち上がる人もいます。
カナダ(モントリオール)出身のオーブ・ジルー監督は、彼女の母親が真摯に向き合ってくれた食のあり方と、目の前の現実の間にある深い溝を埋めるかのごとく、自身の疑問を行動に移しました。この映画には、彼女が純粋に「なぜ?」と問い続けた10年間の記録が込められています。
日本に住んでいる私たちにだって同じような問題はたくさんあり(事実、ゲノム編集食品は表示義務がないまま市場に出る)ただただ純粋に「どうして?」「わからない」と問いたい矛盾で溢れています。残念ながら問うだけでは全てが解決しないことも確かながら、問いをもたず、行動もせずにいたら、どうなるかすらわかりません。奇しくもコロナ禍となった今、私たちはその真っ只中にいるのです。

この映画を配給している「たんぽぽフィルムズ」代表の藤本エリさんは、環境問題や食の分野における敬愛する友人(と僭越ながら呼ばせてください!)で、翻訳者でありライターでもあります。
さらに過去の国際有機農業映画祭では彼女が見つけて字幕をつけてくれたおかげで多くの名作を観ることができたという、映画マーケターでもあるのです。本作も同映画祭で初上映後、一般にも広く長くこの映画を観てもらえるように「たんぽぽフィルムズ」を立ち上げました。そんなエリさんの行動力を心から尊敬しています。
本作は「観た後に語らいの時間をもってもらいたい」という願いを込めて自主上映スタイルを取ってきたものの、昨今の流れから5月10日までVimeoでのレンタル視聴が可能(500円/72時間)になりました。この機会にぜひ、一人でも多くのお友達にこの映画を見てもらえたら嬉しいです。
上映会で販売している同作のパンフレットは、私にとって憧れの編集者、ライター、デザイナーなどが集まり、書籍並みに素晴らしい1冊に仕上がっています。
タネに関する有識者インタビューや情報、映画に出てくるお料理のレシピなども満載で勉強になる保存版です。
わたしと夫も書き手のひとりとして参画させてもらえたことが光栄で、これまでに何度も個人的な贈り物にしたくらい大好きな1冊なので、こちらも多くの方の手に届くことを願っています。
詳しくはたんぽぽフィルムズのこちらをご覧いただくとして、本作品をご覧になられた方とはぜひぜひ、感想など(観てない方へのネタバレは注意しつつ)聞かせてもらえたら嬉しいです。
追記:海外在住の場合、同作の配信はこちらからどうぞ。
投稿者プロフィール
- 柳澤 円(やなぎさわまどか)▷ライター/ 編集/ 翻訳マネジメント。主な執筆分野は食・農・環境問題・暮らし▷10代後半から留学を含む海外生活を続け23歳で帰国。英会話スクールの運営に携わったのち都内のコンサル企業に転職。ナショナルクライアントを担当する充実の日々も2011年3月東日本大震災で価値観が一変し、より自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。現在は夫・史樹と共に、横浜から神奈川県内の中山間地へ移り、取材や執筆、編集の傍ら、自家菜園を中心とした自然食と手仕事に勤しむ日々。愛猫の名前はきび。
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