古い写真は嵩張るし大変に処理に困る。
自分のものなどある意味どうでもいいのだが、紙焼きしかない時代のご先祖のものは、なんとも深い価値がある。
実家に残る写真の数々を整理していて見つけたこの写真は、祖父 柳澤信衛が1924(大正13)年、彼が22歳のとき祖母 千枝に宛てたラブレターである。
お祖父様、公開お許しくださいませ。
帝国陸軍 近衛第3連隊少尉。
1936(昭和11)年に起きた「226事件」実行部隊として有名な部隊だが、彼は1934(昭和9)年32歳のとき、品川で老婆を助け車に轢かれ死亡。
この葬儀の写真も本当に貴重なもので、右に生まれたばかりの父 明朗を抱き、鎮痛な表情の祖母 千枝の姿がある。

もし祖父がこの事故で死ななければ、その人生はまた大きく変わっていただろうが、殺し合いをせず世を去ったと思えば、幸せだったのかもしれないと思う。
子どものころ祖母から「おじいちゃんはね、人を助けて死んだのよ」と聞かされたときには、「なんて立派な人なんだろう」と子ども心に大きな衝撃が走った。
こういうことを考えるといつも出てくる、彼らがいなければ私はいなかったという当たり前の真実。
写真とともに語り継がれるご先祖の生き様は、話半分にしても、どの人も誠実に真剣に、弱い人のために尽力して生ききっていて、自分の小ささに凹む。
しかし同時に「自分にもそのDNAが残っているはずだ」と励まされ、じんわり深い感謝の気持ちが湧いてくる。
ご先祖が子孫を思う気持ちと、それに思いを馳せ、感謝する子孫の思いが繋がることで、現世での私たちの生き方は大きく変わると私は信じている。
だからこそ、誠実に生きることが大事なのだと。
そう考えると、自分史は、私たちの生きている間だけの話ではないことがわかる。その本当の価値は、私たちがこの世を去ってからこそ出てくるのだろう。
#自分史
投稿者プロフィール
-
株式会社 Two Doors 代表社員。
一般社団法人 自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザー。
企業研修プログラム「マインドフルカフェ」メンバー。
ライター・編集・プランナーとしても活動中。
最新の投稿
日々徒然(ブログ)2024年6月18日【DNA的なもの】
日々徒然(ブログ)2024年3月12日「生かされたいのち」の軌跡
日々徒然(ブログ)2024年3月6日テレビに出ちゃいました。
Works2024年2月7日2023年8月・2024年1月 大手水産加工企業様研修