「ライターになって良かった〜」と思う瞬間はたくさんあるのですが(それ自体がとてもありがたいことで感謝しています)、書いたものを喜んでもらえたり、読んだあとの考え方や行動が変わったと教えてもらえると、これ以上ありがたいことはない、と思います。心の中で感涙だし、正直、その後ひとりになるとリアルに泣いてることもあるほど。

さらに、書く前から「ライターになって良かった」と思うことも多いです。その理由は、いつの間にか好きなクライアントや好きなご担当者ばかりになったことで、お声がけいただく企画がすでに好きだから。取材の時点で「ライターになって良かった〜」と言ってることが多々あります。

・初めての街に行かせてもらえる
・そうそうお会いできない方に会ってお話を聞ける
・貴重なものを見たり、なかなか聞けない話を教えてもらえる
・おいしいものや珍しいものを食べさせてもらえる
(こう書くと、ライターって本当いい仕事でわたしに合ってるなぁ笑)

そして、まさにこの通りの現場だった記事が完成し、掲載誌が本日3月9日に販売になりました。

「山と生き物たちが教えてくれる、人がすべき本当の役割」と題した記事で、お話を聞いたのはフィールドワーカーである古谷暢康(ふるやのぶやす)さんです。
山と共生するためにわたしたちがすべきこと、山の動物たちのこと、山もいつかは迎えるという寿命のこと等々、広い知見を惜しみなく聞かせてくれました。

山の管理の仕事をする古谷さんは、私も大好きな本『最初に読む料理本』(時雨出版)を監修された料理家でもあります。同書も、そして今回の取材記事も編集を担当してくださったのは、お世話になりっぱなしの温野まきさん。フォトグラファーは、以前にもお世話になった藤啓介さんでした。

(本誌では6ページに渡る連載の5回目)

最近めっきりウェブ媒体の割合が多くなっていましたが、雑誌のお仕事はまたウェブと違った楽しさを実感します。まきさんにはいつもお世話になっているものの、誌面づくりをご一緒させていただけるのは季刊書籍『自然栽培』以来。とにかく本文作成に集中させてくれるまきさんのリードは、毎度ながら的確で、今回もたくさん勉強させていただきました。

テキストで書いたものが、文字数と行数を割り当てて整い、写真が入ってキャプション振られ、別枠を含んだレイアウトが決まって誌面になる。積み重なる工程にそれぞれのプロが関わって、雑誌が仕上がっていきます。このプロセスをクリエイティブと呼ばなければなんと呼ぶのでしょうか。

(まきさんのインスタから画像拝借。日中とはいえ1月の雪予報も出ていたこの日、日陰の森は0度ほどという冷え込み方。動きにくいくらいモコモコに着込んで行きました笑)

『最初に読む料理本』の発売当初など、以前にもご挨拶程度にお会いしたことはあった古谷さんですが、一体どんな人生を歩まれてきて、何を見ていて、どんな思想で、未来をどう読んでいるのか。いろんな質問を遠慮なくできて、ライターという仕事の役得を実感しました。

今回の掲載誌ですが、個人的には初めてのご縁となった「月刊アネモネ」(ビオ・マガジン社)の4月号。そうです、スピリチュアル雑誌に山のお話です。いろいろすごい…!

本誌はわたし自身、初めて触れる世界線が多く、ページをめくる度に驚いてばかりでしたが、実は「地球の声を聴く生き方」という連載が始まり、自然栽培農家さんや環境活動の実践者など、毎回それぞれの経験から貴重なお話を聞かせてくれています。今回は同連載の第5回目でした。

(温野まきさんも、連載3回で「土中環境」の高田宏臣さんを取材。またこの連載ではありませんが、同誌では以前に映画『杜人』も紹介していました)

本屋さんなどでお探しの場合、ジャンルは「自然」とか「環境」ではないので要注意です。

また、古谷さんの本『最初に読む料理本』は、アマゾンや書店には並んでおりませんので、書店にお取り寄せ依頼をするかお取扱店からの購入、もしくは時雨出版さんのオンラインストアからの購入となります。私もこれまでいろんな友人に贈ったり勧めたりしていましたが、本当に素晴らしい本ですので、気になった方はぜひご覧ください。

(今回の記事でも、本文の別枠にて書籍もご紹介しています)

投稿者プロフィール

柳澤円
柳澤 円(やなぎさわまどか)
ライター/コピーライティング/翻訳マネジメント
社会課題と暮らしのつながりを取材し、複数媒体にて執筆。主な関心領域は食・農・環境・ジェンダー・デモクラシー・映画。企業の制作物なども実績多数。
10代からの留学を含む海外生活後、都内のコンサルタント企業でナショナルクライアントの発信を担当。多忙ながら充実の日々は2011年3月に東日本大震災を経験したことで一変、兼ねてより願っていた自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。神奈川県内の中山間地へ移り、フリーランスライターを経て2019年、夫・史樹と共に株式会社TwoDoors設立、代表就任。取材執筆のかたわらで自家菜園と季節の手仕事など、環境負荷の少ない暮らしを実践する。書き手として、心の機微に気づく感性でい続けることを願い、愛猫の名はきび。