度々書いていますが、環境活動が強まっていくうちにお肉を食べなくなりました。いろんな段階を経てきましたが概ね10年以上になります。

元々お肉より魚と野菜が多い家で育ったこと、そして野菜とご飯が大好きなため、そもそも、お肉を食べたい、と自ら欲する感情もほとんどないのです。ただ極端な原理主義は苦手なので、ほかの誰かに菜食を強要したい気持ちもありません。同じテーブルで誰かがお肉を食べていても嫌な気持ちにはならないし、わたしにとっては、和食・中華・イタリアン、みたいな並列にあるものという感覚に近いベジタリアン。

そのため基本的には、お肉の代わりの○○、とか、まるでお肉みたいな○○、という類の食材も自分から進んでつくることは少ないのですが、ただ、これとこれをこういう風にしたらお肉っぽさが出るな、という感覚はさすがに10年間の間に少し成長したので、たまにがっつり系の定食屋系メニューが食べたい時につくったりします。

(↓こういうイメージ)

そして今日、久しぶりにつくった豆腐の鶏からあげが、まじで唸るほどにザ・からあげ!という感じに仕上がり、かつて某肉体労働の昼食時に定食屋さんでバクバクと食べていたそれを彷彿されるものがありました。

前にも似たようなブログは何度か書いてる気もするのですが、覚書きとしてつくり方を残すことにします。

以前のブログで書いたのは「厚揚げ」をつかうバージョンの豆腐からあげでした。

これはこれで、コンビニやスーパーなど手軽に買える厚揚げで楽しめるので簡単でおすすめなのですが、今回はもうひと手間加えることで、よりジューシーさ(これをあえて言うならお肉っぽさ)が増す、というお話です。

そのひと手間が
社会課題の解決につながるかも、と考える


お豆腐でお肉っぽいものをつくるときの「ひと手間」とはずばり、冷凍させること
水分が多いお豆腐は、冷凍させると内部の水分も凍り、それを解凍すると全て流れでてしまうので、破壊された豆腐の組織がスポンジ状態になります。

俗説的に「お豆腐は冷凍できない」といわれるのはおそらくこの、同じ状態に戻せない、という意味からきてると思うのですが、現代の社会課題である食品ロスを思うとき、この俗説によってお豆腐が食品ロスになりやすいのではないか?と思えてなりません。

食品ロスのからくりとお豆腐にまつわることは、こちらの井出留美さんのブログがわかりやすいと思います。(こちらは少し前なので井出さんの書籍もぜひ)


お豆腐は生ものなので買ったらすぐ使うのが一番ですが、忙しくて使えない時もありますよね。
そういうとき私はパックごと冷凍庫に放り込みます。解凍してスポンジ状になるけど、その食感を最大限活かして楽しめばいいし、それがジューシーでおいしい豆腐からあげをつくることにも繋がります。

ちなみに同じ仕組みを活かしたのが「高野豆腐」。高野豆腐は保存のためにさらにカチカチに乾燥させてあり、使うときはまず柔らかく戻すプロセスが必要になります。この冷凍&解凍した豆腐は、いわば乾燥させる前のフレッシュ高野豆腐、といったところ(ややこしい)

あ、豆腐と社会課題の文脈でもう一つ、ありました。
「大豆ミート」という名称でおなじみの擬似肉のことです。
これももちろん否定はしないし、わたしも手元にきたら感謝しておいしくいただいているのですが、個人的には、大豆を加工してあの状態にするまでのエネルギーにも疑問が拭いきれずにいるのです。
流通できない規格外の大豆の活用、という意見もありますが、しかし工程が多すぎてサプライチェーンも見えにくいし、輸入のフードマイレージはどうなんだろう?と思わずにはいられないのでした。

こうやって考えると、凍らせた豆腐でつくるからあげは、けっこう社会課題の解決アクションに入ると思うんですよね。

木綿 or 絹?

口当たりのいい絹豆腐も、ぎゅっと詰まった木綿豆腐も、どちらも同じように冷凍できるのですが、解凍してスポンジ状になるのは「木綿豆腐」です。絹はスポンジというよりも、湯葉みたいになります。それももちろんおいしく活用できて、あんかけっぽい料理とかに合うのですが、今回の豆腐からあげの場合は、木綿豆腐を凍らせてください。

※余談ですが、スーパーに行くと、お豆腐の種類がめちゃくちゃたくさんあったりしますよね。より自然な食べ物を好む方や添加物が気になる方は、「消泡剤不使用」を選ぶのがおすすめです。関東圏の方はアサヒコさんの阿夫利豆腐とか、おいしいし買いやすいかと思います。

では、豆腐からあげのつくりかた

【材料】
・木綿豆腐  1丁(350g前後)
・醤油  大さじ2強
・みりん 大さじ2
・生姜  少量(小さじ1/2位、すりおろす)
・にんにく 少量(小さじ1/2位、すりおろす)
・片栗粉 適量(目安は大さじ3〜4位)
・揚げ油 適量

【手順】
1. 木綿豆腐を冷凍庫で凍らせる
2. 上記1)の豆腐を解凍する(室温に出しておく、又はぬるま湯の流水など)
3. 解凍した豆腐を両手のひらに挟んで水分を絞る(重石でしばらく置いておくもよし)
4. だいたい水分が絞れたら(パサつきのある質感になってる)豆腐を適量な大きさに手でちぎる
5. ボウルに、醤油、みりん、生姜、にんにくを合わせる
6. 上記4)の豆腐をボウルに入れて均等に染み込ませ(スポンジが吸うのでなるべくまんべんなく)20分くらい置く
7. 別のボウルに片栗粉を出し
8. 揚げ油は鍋に1cm強くらい入れて温めておき
9. 上記6)の表面にまんべんなく片栗粉をまぶしたら素早く8)に入れ、表面がカラッとして色づく程度に焼き揚げる。コツは焼き面を変えるとき以外あまり触らないこと。

完成!

お豆腐の解凍まで済んだらあとは簡単。ご飯を炊いてる間にできます。

ちなみに、冷凍&解凍を繰り返すと、もっとスポンジ状態になります。1回の冷凍&解凍でもの足りないときは、もう一回冷凍してみてください。

揚げのプロセスについて、厚揚げバージョンのときにも書いたいのですが、ベジ素材の揚げもののメリットは、お肉と違って、中心まで火を入れるディープフライにする必要がないことです。なんなら揚げる前の状態でも食べられるものですから、ナマニクを揚げるのとは全然違って、やや高めに熱した少量の油で表面を焼き付けるようにサクッとさせたら完了なのです。揚げ物に苦手意識がある人もチャレンジしやすいです。
翌日以降に食べる時もトースターやオーブン、もしくは油を引いてないフライパンで温めるとサクサク感が戻ります。

とはいえ油物なので、付け合わせは酵素たっぷりの生野菜が消化によくておすすめ。我が家ではしっかり野菜の量も食べられるように、刻んだきゅうりやキャベツを塩もみして添えることが多いです。野菜+から揚げ、このままの組み合わせでお弁当にもつかえますね。

ご飯が進むがっつり体育会系メニューでありながら、社会課題にも思いを馳せる豆腐からあげ。普段のケの料理に、また、ミートフリーの日が増えるきっかけになりますように。

(翌日のお昼は温めてからお漬物と一緒にご飯に乗っけた、からあげ丼でした)

 

投稿者プロフィール

柳澤円
柳澤 円(やなぎさわまどか)
ライター/コピーライティング/翻訳マネジメント
社会課題と暮らしのつながりを取材し、複数媒体にて執筆。主な関心領域は食・農・環境・ジェンダー・デモクラシー・映画。企業の制作物なども実績多数。
10代からの留学を含む海外生活後、都内のコンサルタント企業でナショナルクライアントの発信を担当。多忙ながら充実の日々は2011年3月に東日本大震災を経験したことで一変、兼ねてより願っていた自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。神奈川県内の中山間地へ移り、フリーランスライターを経て2019年、夫・史樹と共に株式会社TwoDoors設立、代表就任。取材執筆のかたわらで自家菜園と季節の手仕事など、環境負荷の少ない暮らしを実践する。書き手として、心の機微に気づく感性でい続けることを願い、愛猫の名はきび。