眠れぬ夏の夜を解決する「虫除け」のつくり方

子どもの頃から、その場にいる人たちの中でいちばん蚊に刺される役回りをしてきました。
大人たちの「血がおいしいのね〜」と笑いながら言うフレーズも、爪を立ててバッテンされるちっとも効果のない対処も、子どもながらに冷ややかな気持ちだったことを覚えています。

さらに苦手だったのは、空中を白く染めるような虫除けスプレー。あのケミカルな匂いを浴びると、自分が虫になったような悲しみを覚えながらむせていました。

オーストラリアや北米に住んでいたときは、乾燥のせいか、夏だからといって蚊に悩まされることもそれほどなかったように思うのですが、1度、ドラッグストアで買った mosquito repellent(モスキート リペラント:虫除けのこと)をつけたら、肌が燃えるように熱いほど痛くなり、真っ赤に腫れてしまったことがあります。

後からそのスプレーのジエチルトルアミドという化合物が日本のスプレーよりも強い規格だと知り、おそらく探せばもっとソフトなものもあったと思うのですが、どんどん虫除けスプレーが苦手になりました。

都合のいい話ですが、防虫ならともかく、殺虫という概念が苦手なのかも?と思ったりもします。もっと言うと、蚊がいるとわかるやいなや「蚊だ!!!」と大声で叫んで両手でパッチンとするあの動作も。自分でもやっちゃう時がないとは言わないのですが、それにしても美しさのない行為だなぁと思ってしまうです…なんて勝手なのでしょうか私は(反省)

ここ数年は、ハッカやゼラニウム、除虫菊など、蚊が嫌うとされるハーブのキャンドルや線香、エキスなどを買って使ったり、あとコンセントに挿す市販の電子蚊取りも持っていますが、できるだけ自分のエネルギーをすり減らすことなく、且つ快適さを追求して虫除けを手づくりするようにもなりました。

毎年いろんな組み合わせで試した結果、昨年からこの組み合わせが過去イチ効果があるように実感しています。

先日、夜通し磯釣りに出かけた夫からも「今まで一番効いた」という感想をもらったので、自分の備忘録を兼ねて、ウチの虫除けスプレーの組み合わせを残しておこうと思います。

ウチの虫除けスプレーのつくり方

材料

●ドクダミエキス 500ml
●クローブ(ホール) 100g
●シトロネラ精油、ゼラニウム精油 各10〜15滴

と、これだけと言ったらこれだけなのですが、それぞれどこで手に入れるの?って感じの材料なのも確かなので、ひとつずつ説明していきましょう。

まずはドクダミエキス

5月になると、近所のある場所をよく見ながら歩くことがすっかり習慣になりました。都会でもよく咲いているし、香りのせいか嫌われることも多い、ドクダミを探すためです。

(以前カナダでも咲いてるのを見たことがあります。fish mintと呼ばれ、やっぱり独特の香りが好き嫌い分かれるんだなぁと思いました。かわいくて大好きなお花なんですけどねー)

道端の(とは言えなるべく排気ガスや犬のおしっこなどが掛かってなさそうな)きれいなドクダミを探し出し、お花を摘みます。ウチではボウル1杯くらいを使いますが、少ない場合は全体量も合わせて少なくすればいいので、つくりやすい量から始めるのがオススメです。

お花を洗ってよく水を切ったら、ガラスなどの容器に詰めて、全量かぶるところまでアルコールを注ぎ、蓋をして直射日光を避けたところに置いておきましょう。液体が茶色くなったらエキスが移った証拠、お花を濾してエキスだけを使います。

抽出用のアルコールは、度数の高いウォッカなどが良いとされていますが、それは長期保存がしやすいから、と言う理由でもあります。

お酒に強くない我が家の場合、虫除けのためだけにウォッカを買うことはちょっと難しいので、発酵食品用の容器を消毒するときに使っている「キンミヤ焼酎」を活用します。

キンミヤのアルコールは25度程ですが、大抵のスーパーでも買えて手軽ですし、保存も、直射日光の当たらないところに置いておけば気になるような劣化もありません。


茶色くなるまでは1ヶ月くらい掛かります。ウチはけっこう1年くらいお花も入れたまま放置して濃い目に抽出したりしてますが(ざっくりしてるのです)それでも、5月に咲いたドクダミをとって6月に虫除けとして使えると思うと、ちょうど蚊の増える季節の前に咲いてくれるドクダミの健気さや、自然の成り立ちのうまさに人知れず感動しています。

実は、このドクダミエキスだけでも虫除け効果があると言われています。アルコールですし、肌につければ消毒にもなって、蚊が好む常在菌を一時的に排除できるんだとか。

ウチも最初はこのエキス単体で虫除けとして使っていて、けっこう気に入っていたのですが、もう少し防虫効果を高くできるかな、と思って足したのが次の材料のクローブです。

(少量ならこういう調理用の小瓶でもOK。5月の終わりに近所のスーパー行ったらクローブのホールの棚だけが空っぽで「きっとみんな虫除け作るんだな..」と思いましたが、たぶんただの偶然でしょう)

クローブはチャイなどに使われる香りのあるスパイスですが、独特の香りと成分が、蚊だけでなくゴキブリやクモなども避けるとされています。
ヨーロッパなどで見かける、柑橘にクローブをたくさん刺した「フルーツポマンダー」も防虫や防菌が始まりだったと聞いたことがあります。

ドクダミ同様、クローブもアルコールでエキスを抽出すればこれだけで防虫効果があるのですが、ウチではそれらを混ぜてしまいました。
結果は、クローブがあるとないとでは大違い。虫除け効果がグンと高まったと実感しています。


またさらに、別に作っていた虫除けも昨年は混ぜてみました笑。それが、シトロネラゼラニウム、2種類の精油です。

確か去年の夏は、夜通しBBQや、屋外のティピで寝るようなキャンプにも出掛けましたが、それでも蚊に刺されずに快適に過ごすことができたのは密かにこれの効果だと思っています。
もちろんあくまで個人的な感覚なのですが、ドクダミ&クローブの効果がシトロネラ&ゼラニウムでさらに高まったと思うのです。

(信じるか信じないかはあなた次第ですのでもちろん強要しません、ご安心を)

(ほんの少しで有効なので5mlの小瓶でもまだたっぷりあります)

最近はホームセンターなどでゼラニウムの苗が売っていたりして、プランターやお庭に植える方も増えてますね。我が家も一つ、庭に植えてるのですが、ゼラニウムに勝る勢いで周りの草がぼーぼーのため、こうした市販のエッセンシャルオイルを購入しました。もしお庭にたくさん植えてる方はそれからエキスを抽出てみるのもさらに楽しいかもしれません。


というわけで説明が長くなり、且つ、マニアックに寄った気もしますが笑、ドクダミ・クローブ・シトロネラ・ゼラニウムというそれぞれ単体でも虫除け効果のあるものを全部混ぜたのがウチの虫除けです。笑

手作りだとこうして気軽に実験しやすく、また、気分によっては香りづけなどもして楽しめます。ウチでも、定番のハッカオイルはやっぱり使い心地がいいと思っていて、いつも容器に詰めた後に1〜2滴足しています。


使用例

我が家はキッチンから庭に出る造りになっているため、大きめのスプレーを1本キッチンに置いていて、夜は、シンクなどの水回りや、屋外に続く扉の付近にスプレーしてから寝ています。

畑に行くときは手足に塗るほか、服の上からスプレーしたり、手の平に一度スプレーしてから耳の周りや髪の毛にも付けます。顔周りにも気にせずつけられるのは、天然成分ならではの使い方かもしれませんね。

あと、グリセリンを足して少しトロッとした質感にしたバージョンも作っていて、それは寝室に置き、寝る前につけたりすることもあります。

「虫除け」ではあるのですが、主成分がアルコールとハーブということもあり、刺された「後」につけても消炎効果によってかゆみが落ち着くようです。

先日、夫がいつのまにかブヨに刺されていて(山で暮らす人にありがちなやつですね)長引くかゆみにイライラしていたのですが、夜これをつけた途端に落ち着いて「よく寝れた」と言っておりました。

今のところ、これが我が家が行き着いた虫除けの作り方ですが、他にも「これがいいよ!」なんて情報がある方はぜひぜひ、教えてください。

(携帯用は遮光でアルコールに対応している容器を使ってます)

追記:
ドクダミの活用について、greenzでも記事にしてつくり方を簡潔にご紹介しました。刈って捨てられたり、邪魔扱いされていたものが活きるって素晴らしいよね。

投稿者プロフィール

柳澤円
柳澤 円(やなぎさわまどか)▷ライター/ 編集/ 翻訳マネジメント。主な執筆分野は食・農・環境問題・暮らし▷10代後半から留学を含む海外生活を続け23歳で帰国。英会話スクールの運営に携わったのち都内のコンサル企業に転職。ナショナルクライアントを担当する充実の日々も2011年3月東日本大震災で価値観が一変し、より自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。現在は夫・史樹と共に、横浜から神奈川県内の中山間地へ移り、取材や執筆、編集の傍ら、自家菜園を中心とした自然食と手仕事に勤しむ日々。愛猫の名前はきび。

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4 Comments

  1. 吉田 俊郎

    まどかさん、ふみきさんの fbの投稿を見てまどかさんの虫除けスプレイーにたどり着きました!(笑)とても効きそうなので、早速ドクダミの花を詰んでアルコールにつけ始めました。ご紹介ありがとうございます!とてもわかりやすく、やる気にさせる記事でしたよ。
    ところでもし良かったら質問に答えていただけたら嬉しいです。ドクダミは花だけで葉は入れないと理解しました。葉っぱや茎の方は何か他のものに使われているのでしょうか?

    またクローブはドクダミの花を一緒につけても構わないですよね?我が家も畑や庭に蚊がすごい襲って来るので、自分で作れる虫除けを探していました。どうぞよろしくお願いします。

    • 柳澤円

      あはは、”すごい襲ってくる”蚊って強そうですね〜。オーガニックバグスプレーがどこまで効くかな笑。こちらの山の蚊には効くけど。
      葉っぱは多少混ざっても良いと思ってるんですけど、花弁に肝心のエキスが多いと聞き(諸説ある様ですけどね)分けています。葉っぱもアルコールでチンクシャーにする方もいますが、ウチはそんなにチンクシャーばかり使いきれないので、葉っぱは1〜2日お日様に干してもっぱら入浴剤にしています。
      クローブを入れるタイミングも別にいつでも構わないと思うんですが、3日もあれば十分だと思うので、先にドクダミを漬けておいて、その間にクローブを用意し、適当なタイミングでクローブを追加してます。大きい瓶で作るのでどちらも漬けっぱなしですね。しゅんろうさんのこの夏が快適であります様に〜。

  2. 吉田 俊郎

    まどかさん、返事ありがとうございます!早速クローブも手に入ったので後から入れてみます!田舎の山の蚊に効くかこの夏かけて実験ですね!

    • 柳澤円

      夏の清々しい朝とか、多くなってきますもんね。快適になりますように〜!^^