アボカド愛が一周したら日本古来のローフード「ぬか漬け」に行き着いた

魅惑の食べ物、アボカド。
好きな人多いですよね、わたしもその一人です。

普段ほかの野菜や果物は、ありがたいことに家庭菜園とおすそわけのおかげで買いに行くことも少ないのですが、アボカドとバナナはそうもいきません。普通にスーパーまで買いに行き、そのたびに「いつか自家栽培して食べ放題になりたい」と妄想を繰り返すほど、アボカドが好きです。

昔から、何かの食べ物に世界規模のニーズが集まると、供給側にマフィアが絡み始めるものです。ついにアボカドもその一つになってからは、食べたい/買いたいと思ってもなるべく抑えているのですが、普段あまりお肉を食べない分、脂質が欲しい時など、体の声を聞いて買いに行きます。

かのオプラ ウィンフリーも、出張に自分用のアボカドを持参するほど大好きだそうですが、彼女の場合は「毎回買うのがばかばかしくて農園ごと買った」とか…庶民的なスーパーの店内でアボカドを手にすると、いつもこのオプラの話が脳内で自動再生されています。

(アボカドの話は1:20くらいから)


どんな食べ方も好きなのですが、ここ最近はもっぱら「ぬか漬け」ばかりです。

買ってきたら、まずぬか床へ。調理前の下ごしらえ、もしくは、鮮度を保つ保存場所みたいな意味も含めて、やはりどう考えてもアボカドを一番おいしく食べる方法はぬか漬けだなという持論に落ち着きました。

というわけで今日のブログは「アボカド × ぬか漬け」のお話。
 

ぬか漬けは言わずと知れた、塩とお水で発酵させた米ぬかに漬けるお漬物のこと。殺菌・防腐の目的のために唐辛子や山椒の実、また、風味を増す目的で昆布などを入れ、好みの味の床をつくります。

ぬか漬けのすごいところは、なんといっても「食材がおいしくなる」ことです。いきいきみずみずしくなり、乳酸菌や酵素たっぷり。味わいもふわっと奥行きが出るように増して、漬けておくだけで食材がパワーアップするかのよう。

我が家は、ぬか床ごと冷蔵庫で管理しているためお手入れも楽で、発酵もゆっくりです。浅漬けが好きなので、だいたい半日か一晩ほどで好みに仕上がってくれます。

アボカドはこんな感じに漬けてます

おいしく漬けられたらどんな方法でも自由だと思うのですが、私はいつも、ぬか床の深さに合うように1/2カットし、皮を残したままサラシに包んでぬか床に沈めています。

1/2カットしたアボカドを角をひとつにして包み、端っこをつまめるくらいにして、

【追記】皮の農薬などが気になる、というご意見がありました。気になる方は取ったらいいかと思います。わたしは発酵してるぬか床でリステリア菌やサルモネラ菌が活動してるとは思えないのと、扱いやすさのためにこの方法にしてますが、自分が快適に感じる方法が一番いいと思います(にっこり)

⑤全体的に混ぜたぬか床に入れる、⑥他の野菜もあれば入れる、⑦ぬかで覆い、⑧容器の内側をきれいにして終了(すでにいい感じの浅漬け状態になってる野菜は上に乗せて待機です笑)


ぬか床から野菜を”発掘する”感じもとても楽しいのですが、サラシの端っこをぴょこんと飛び立たせておくと、そっと引き上げることができて、ぬかの飛び広がりを抑えられます。

ちなみにサラシは、アボカドにぬかが付かずに扱いやすくするためなので別になくてもいいのですが、我が家は普段からサラシをけっこう活用しています。

このくらいのサイズで何枚か用意しておき、ご飯を冷凍する時のラップ代わりとか、野菜を包んで冷蔵庫内での乾燥防止とか、おむすびなど食卓の上の食べ物に掛けておく、等々。繰り返し使って古くなったら刻んでウェスにし、食器洗いの前に油を拭き取るなど、エコなキッチンには欠かせない便利なものです、サラシ。

【追記】こちらも、サラシを洗うのが面倒、手洗いした場合の衛生状態は、とご意見ありました。繰り返しですが、ご自身が快適な手段がいちばんです。わたし自身は、自家消費用であることと、布が繰り返し使われる江戸時代のようなエコのプロセスが好きであることと、熱湯を通して太陽で干すのが消毒だと思っていますが、ご自身が快適な方法を優先してください、このブログは誰にも何も強制してません(にっこり)

さて、半日〜ひと晩漬かってパワーアップしたアボカドは、ザ・漬物って感じにスライスしてご飯&お味噌汁でいただくのも大いにありですし、我が家ではこのままサラダに使ったり、丼ものに乗っけたり、ワカモレにしたり、海苔巻きの具材にしたり、パンに挟んだり、といわゆる普通のアボカドとして調理します。

いわば「ぬか漬け=下ごしらえ」です。これにより、隠れていた本来の味わいが引き出され、素材そのものが最高においしいレベルに到達します。

アボカドひとくちの満足感がマックスまで高まったおいしさ。幸せが口中いっぱいに広がり、どうか世界中のアボカドファンに味わって欲しいいいいい!と、いつも思ってしまいます笑。

(アボカドだけでなく浅漬けにしておいたきゅうりや人参などがあると、海苔巻きもすぐできる)
(サラダうどんにも、きゅうりとアボカドのぬか漬けどーん)
ライ麦パンにも、ぬか床から取り出したら切って乗せるだけ。


あぁ…こうして綴っているだけでお腹が空いてきました…なんて魅惑的で罪深いのでしょうか、アボカド。

アボカド好きは農園ごと買い上げたオプラだけに止まらず、あの向田邦子先生も生前はアボカドがお好きだったとか。1981年に亡くなられた後に出版されたこの料理本をお持ちの方は多いと思いますが、おつまみのチャプターでは、わさび醤油で召しがってたことが紹介されています。

(どこにも書かれてないけど、ぬか漬けも召し上がってらしたかしら?と思いを馳せるファン心理)


ぬか床づくりについて

ではここからは、ぬか床づくりに関するあれこれについて。

ぬか床は「前に失敗してからトラウマ」とか「うまくできる自信がない」といった苦手意識をもってる方はけっこういますよね。(あと最近は「アルコール消毒を頻繁にするようになって手の常在菌が激減したみたいでぬか床がいまいち」という声を聞いたりもします)

私も以前ぬか床への苦手意識を吐露をしたところ、ある料理家の方に「ぬか床なんて失敗したらやり直せばいいだけよ!」と笑い飛ばしていただいたことがありました。 

そんな昔の私のような方にオススメしたい近道は、うまく発酵してる人のぬか床を少しわけてもらう「床わけ」です。

我が家のぬか床も、以前は産膜酵母という白い酵母がうっすら張りやすかったり、風味が今いちだったりしたのです。しかし昨年急逝した義母のぬか床をもらい受け、思い切って全量混ぜ込んだところ、ほんの数日でめちゃくちゃおいしくなりました。

(お義母さんのぬか床と合わせて整えた時に撮った写真。唐辛子がうふふって感じ)

 
ぬか床くれる人なんて近くにいないよ!という場合、混ざりものがなくてすぐ使える市販のぬか床を活用するといいかも。最近たくさん見かけるようになりましたよね。私も以前使っていたこちら、とても簡単でおいしくて、とても便利に使わせてもらいました。

(おすすめはこの「ぬか床一年生」です)


容器も、塩分に強い素材ならなんでもいいと思いますが、今わたしが使ってる野田琺瑯「ぬか漬け美人」はド鉄板の超定番アイテムだけあって、やっぱり良いです。

冷蔵庫管理するのに便利なサイズですし、実は以前バケツストッカー型の容器にしていたこともありましたが、自炊が多いといっても2人家族の我が家には、このくらいが身の丈に合っていて気に入ってます。


ちなみに「そもそもぬかって何?」という方のために少し書くと、ぬか(糠)とは、お米の外側の栄養がたくさんあるところ。玄米で食べると糠ごと炊いてることになりますし、白米にする時には削って粉状になったのがぬかです。

我が家は食事の際、家庭用の精米機を使って玄米を精米しているので、その度に少しずつ出るぬかを漬物用にしています。

家庭用精米機があると、精米したてのご飯はおいしいし、その日の気分で精米の度合いを変えて楽しめるので、これはこれでオススメかも。

(いろんな会社から出てるけどウチのはツインバード)

精米機を買う前や、足しぬか用にたくさん欲しい時は、熊本の「自然派きくち村」のネットショップで生ぬかを買ったりしていました。ぬかは酸化しやすいので、買うとしたらこうして真空パックにしてくれるところをがいいと思います。

 
立夏を過ぎ、外気温が上がり、それでもまだ真夏ではない今の時期は、発酵食品を仕込みやすく、気軽に楽しめる季節です。ピンときた方はぜひ手軽なところから始めてみてくださいね。
 

ちなみに、ぬか漬けを含めたお漬物に関する知識は、発酵料理家・舘野 真知子さんのこの本に、一生分これ1冊でOK!ってくらい充実してまとめられていて、超絶オススメです。英語版も出てます。

  

投稿者プロフィール

柳澤円
柳澤 円(やなぎさわまどか)
ライター/コピーライティング/翻訳マネジメント
社会課題と暮らしのつながりを取材し、複数媒体にて執筆。主な関心領域は食・農・環境・ジェンダー・デモクラシー・映画。企業の制作物なども実績多数。
10代からの留学を含む海外生活後、都内のコンサルタント企業でナショナルクライアントの発信を担当。多忙ながら充実の日々は2011年3月に東日本大震災を経験したことで一変、兼ねてより願っていた自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。神奈川県内の中山間地へ移り、フリーランスライターを経て2019年、夫・史樹と共に株式会社TwoDoors設立、代表就任。取材執筆のかたわらで自家菜園と季節の手仕事など、環境負荷の少ない暮らしを実践する。書き手として、心の機微に気づく感性でい続けることを願い、愛猫の名はきび。

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2 Comments

  1. 奥津 わこ

    アボカドぬか漬け記事を早速あげてくれてありがとう。^_^
    妄想・アボぬかでございます。
    有り難いことに、ここに手順が丁寧に、細かく書いてあります。あとは自分の愛情がどの様に注がれるのかが結果だと思います。
    アボカドの好きなところは、何かと合わさった時に超えるような美味しいさ、リッチな感じ、調和感がバツグンなのところが好きです!
    アボカドぬか漬け最強説を試してみたいです。
    まかちゃん ありがとう♡

    • 柳澤円

      わこちゃんコメント、キター!^^ また一緒においしいものわいわい食べれる日を楽しみにしてます!