血液型占いで読むO型の特徴は「熱しやすく冷めやすい」が多く、O型としては否定しない。何かにハマると気がすむまで毎日続けて、いつかフェイドアウトする。その後も別にきらいになることもなく、いわゆる「マイブーム」ってやつだ。(ちなみにこれ日本語英語なので、英語で伝えるときはI’m into 〜.とか言おう)
おそらく覚えている限りで人生最初のマイブームは「なめたけ」だったと思う。
茨城出身のナチュラリストである我が母は、食事にもおやつにも夜食にも納豆を出す人で、結果わたしは、生粋の納豆&ご飯好きに育った。自分で引き起こした結果であるにもかかわらず、母はいまでもわたしのことを「体の半分は納豆でできているのよ笑」と人に話したりする。なぜか嬉しそうに。
納豆好きなら一度くらい「納豆に入れる好きな具はなにか」という、ほとんど意味のないテーマを話題にしたことがあるかもしれないけど、わたしのひとつの解が「なめたけ」だった。
納豆&なめたけとのファーストコンタクトは、茨城の親戚の家にひとりで泊まった小1の夏。以後、藤沢の実家でもなめたけを切らさないでくれと親に懇願していた。
完全なるマイブームの到来。
ファーストマイブーム、なめたけ。
以来数十年、なめたけとわたしは付かず離れずの距離感を保ちつつも、最近の付き合い方はもっぱら「えのき」になっていた。(一応書くけど「なめたけ」は「えのき」を煮たもの)
ウチでえのきの出番はほとんどお味噌汁となり、去年の秋頃は、こんなツイートをして反応をもらったことがあった。
細かく刻んだえのきがダシと具を兼ねて存在してる味噌汁の写真。反応が多かったことでふと、「お味噌汁のログでもつけるか」と思いつきとノリでnoteに書き始め、そこでも少しだけ、食材としての「えのき」の便利さに触れた。
えのきって、白くて細くて栄養なさそうに見えるかもしれないけど、ビタミンB群や食物繊維がたっぷり。それでいてローカロリーで、いいダシが出て、菌床栽培で扱いやすく、安価。一点だけ、栄養が水溶性なので、加熱するなら汁ごと食べる(つまり味噌汁など)こと。こう見ると、きのこの中でも、えのきは忙しい自炊派にぴったりの食材だと思う。
などと言って常備してると、野菜室に放置してしまったりするのだけど。
で、やや伸びてしまったえのきを発見したので、久しぶりに「なめたけ」をつくった。これもまた煮汁ごと食べられるし、なんといっても個人的には、ノスタルジーに満ちた、原体験の味でもある。
なめたけのつくりかた
一般的には刻んだえのきをダシ汁と醤油と酒と砂糖で煮詰めたもので、ダシ汁を濃いめに取ったほうがいいとか、色々コツがあると思うけど、ウチでは麹の力を借りて超スーパー簡単に、でもおいしく仕上がった。
1. フライパンに刻んだえのき1束分を入れて、50ccくらいの水で蓋をして蒸し焼きにして
2. えのきにふっくら感が出てから、みりん大2、醤油麹 大1、醤油 大1を入れる(写真左)煮汁が減り、ヘラを通した時に筋ができるくらいトロっと煮詰めたら(右)完成。
冷めたら瓶に入れて冷蔵庫保存。
ご飯に乗っけてもよし、野菜と炒めてもよし、その他サラダや和え物、もちろん、納豆とのペアリングが誰かのマイブームなったらそれはそれは嬉しい。
snsにこうした地味な食の写真を出したら、ある日「お前もこういう味がわかる歳になったか」と大昔の上司がコメントをくれた。伝えたことがないので仕方ないし、そのコメント自体たいした意味はないとわかってるけど、でも10代も20代のときも、わたしのソウルフードはずっとこれである。
投稿者プロフィール
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柳澤 円(やなぎさわまどか)
ライター/コピーライティング/翻訳マネジメント
社会課題と暮らしのつながりを取材し、複数媒体にて執筆。主な関心領域は食・農・環境・ジェンダー・デモクラシー・映画。企業の制作物なども実績多数。
10代からの留学を含む海外生活後、都内のコンサルタント企業でナショナルクライアントの発信を担当。多忙ながら充実の日々は2011年3月に東日本大震災を経験したことで一変、兼ねてより願っていた自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。神奈川県内の中山間地へ移り、フリーランスライターを経て2019年、夫・史樹と共に株式会社TwoDoors設立、代表就任。取材執筆のかたわらで自家菜園と季節の手仕事など、環境負荷の少ない暮らしを実践する。書き手として、心の機微に気づく感性でい続けることを願い、愛猫の名はきび。