味噌づくりが愛おしすぎて、2020年の仕込み内容を記す

いつの頃からか、手前味噌を仕込んでいる。
最初はまだ小さい頃。もちろん自分の意思ではなく、言われたことを作業するのみ。

10代後半からの海外生活ではどっぷり浸かったジャンクな食生活の末に「納豆食べたい」「味噌汁飲みたい」「おむすび…」と日本食を渇望して、試行錯誤しながら自作していた。きっと大したものではなかったはずだけど、本人は幸せだったので、良き良き。

ここ数年は私も夫もフリーランスになり、自宅をオフィスとし、打合せもオンライン参加が増えたため、自宅でふたり揃って食事をする日が多くなった。だいたい自炊してるので、 ほぼ毎食お味噌汁をつくっている。

お味噌汁だけでなく、炒め物やパスタソースやシチューなどの洋食、お菓子づくりにも味噌を使うし、白湯に入れることもあれば、漬け床にしたり、納豆の味つけにしたり。2泊以上の出張や海外にも持参する。

今のライフスタイルで、我が家の手前味噌はおおよそ10キロ前後。ほかに買ったお味噌やいただきものなど、色んなお味噌を楽しんでいる。


20年近く前、母が新潟・佐渡に移住して米農家となり、この4〜5年は稲刈りや直売を手伝い始めたこともあって、最近は親が育てた「龍泉米」を麹にしている。



今年の仕込みは、いつもの米味噌のほかに、まず甘味噌。麹を倍ほど使うけど、塩も減らしすぎない、熟成後は みたらし団子みたいな”甘じょっぱい”さになる味噌だ。

あとはいつもその時にある豆をうまく使い、大豆ではない豆の味噌も少しずつ仕込む。去年はひよこ豆とあずきで、今年はちょうど母たちがたくさん送ってくれた金時豆と黒豆を1キロずつ味噌にした。


仕込む容器は常滑焼の甕、TOKONAME CROCK(写真奥のホワイトとブルー)や、ル パルフェ、WECKのガラス容器などその時々。




味噌は、豆を煮て潰し、麹と塩と混ぜて寝かせるだけ。そのシンプルさゆえ、1キロほどの量ならひとりでもストレス不要、サクサク仕込める(北米在住時は、水煮缶の大豆をつかってたし冷蔵庫で熟成させてたので超簡単だった)

一般的には1回で3〜4キロの仕込みが定番だろうか。自炊の頻度が週2〜3回の2人家族なら十分で、且つ、仕込むのも苦にならない量だ。ウチも以前は夫とふたりで、3キロくらいずつを数回やってたこともある。

それにしても、仲のいい友達と一緒にする味噌仕込みは、それはそれは最高に楽しい遊びなのでかなりオススメ。楽しい空気感がそのまま入り込むのか、熟成後の味噌もとてもおいしく出来あがる。我が家も例年、親友たちと合同の仕込みが定番になった。

特に今年は、豆ちがいの味噌もぜんぶ同日に仕込みたかったので、みんなの力を貸してもらいつつ、3家族合同、総勢20キロの味噌仕込みをした。

リビングにはブルーシート。

覚書きの意味を含めて、今年の味噌仕込みの内容を書いておこう。

2020年の合同味噌:内容

▶︎米味噌:2キロ(M家)5キロ(T家)7キロ(柳澤家)
▶︎甘味噌:1キロ(M家)1キロ(T家)2キロ(柳澤家)
▶︎黒豆味噌:1キロ
▶︎金時味噌:1キロ

大豆は北海道産・自然栽培のさといらず。黒豆と金時は佐渡産。塩は天日塩、麹は佐渡産の龍泉米。

器用な上に慣れてる親友たちは、手際の良さがすごい

割合い

▶︎米味噌:毎年同じ、塩分12.5%の中辛。大豆:麹:塩= 1: 1.5:0.5〜 0.6
(仕上がり6キロ例=1300g: 2000g: 750g)
▶︎甘味噌:麹も塩も多め。大豆:麹:塩= 1: 2: 0.4
(仕上がり2キロ例=1000g: 2000g: 450g)
▶︎黒豆味噌:わりとプレーンに。黒豆:麹:塩= 1: 1: 0.5
(仕上がり1キロ例= 300g: 300g: 150g)
▶︎金時味噌:しっかり甘く。金時豆:麹:塩= 1: 2: 0.5
(仕上がり1キロ例= 250g: 500g: 125g)

好みの割合いでつくれるのが手前味噌の魅力でもあるので、少しずつ試し続けて自分の好きな味(割合)を見つけるのが手作りの醍醐味。ウチはこの2〜3年で自分たちにちょうどいい落ち着きどころを実感している。

ちなみにつくりたい味噌の量から逆算して必要な材料を計算してくれるマルカワ味噌さんのこのページは本当に素晴らしくて、わりと有名な料理家さんたちも愛用している超絶優れもの。

あといつの間にかマルカワ味噌さんはウェブショップの他にAmazonや楽天でも買えるようになったんですね。計量済みのキットとか、トライしやすくて良いと思う↓

することリスト

当日ホスト側となる私のタスクは ●材料の手配 ●前日準備 ●当日準備だ。ちなみに大鍋を借りることもせず、普段の調理道具だけを使って工夫したので、容器や鍋はテトリス状態になった笑。

  • 事前:仕込みの材料と、使う道具など諸々の手配。
  • 事前:去年の味噌を開ける。新しい仕込みのために中の味噌を別容器に移し、甕(かめ)を洗い、焼酎で拭いておく。
常滑焼きの甕(上・下左)から去年の味噌を別容器(下右)にまとめる
  • 前日19時 それぞれの豆を計量して、よく洗う
  • 前日20時 大豆の浸水開始(それぞれ計量済みなので注意)
  • 当日 6時 黒豆を圧力鍋で煮る→終了後、金時豆も煮る
  • 当日 8時 大豆を一斉に煮る(約4時間)ガスコンロが足りないので土鍋はストーブで煮る。途中お湯が減ったら足しながら、豆が出ない様にする。煮てる間に、それぞれの麹と塩を計量し、割合が多い甘味噌と金時豆の麹はフープロにかけて細かくしておく。あと、仕込み後の食事の準備もしておく。
  • 当日13時 みんな到着する頃。ハグとか近況報告とか諸々落ち着いたら仕込み内容の確認をして、まずは塩きり(麹と塩を合わせること)から。
  • 先に、黒豆と金時豆をそれぞれ潰して仕込みまで。
  • 続いて各家庭ごとの大豆と、甘味噌の大豆も潰してそれぞれの容器に仕込む。

ハズバンド組も慣れたもの。丁寧に”入菌”中。

おまけ

いまのところ良いと思ってるポイントを順不同に羅列メモ(今のウチの場合なので好みや環境でそれぞれなことも多い)

・塩と麹と大豆を合わせて少し固く感じた時は煮汁を足す。が、足しすぎると塩分も変わるので完成した味噌のテクスチャーをイメージし、その少し手前くらいの柔さにしておく。

いい匂いがする、味噌玉。

・残った煮汁は豆の栄養もたっぷり。鍋料理や味噌汁などに活用して、2日間位のうちに堪能しまくるのが良い。

龍泉米でたんぽをつくり、大豆の煮汁で煮込むきりたんぽ鍋。

・味噌玉にして容器に仕込んだら、焼酎を染み込ませた布巾やサラシでまわりを綺麗にして、味噌の表面には酒粕を伸ばして蓋をする(味噌が空気に触れずカビにくくなる)酒粕の上に焼酎サラシを密着させて乗せ、重しを乗せる。重しは厚手のビニールに園芸用の石を入れて使うと均等に広げやすい。甕の蓋をしたら防虫用に布でカバーも。

重しを乗せて(左)甕の蓋をし、布でカバー(右)。ちなみにこれ親松寝具店のオーガニックコットンの端切れ。

・仕込む量が少ない場合はタッパやジップロック袋でも大丈夫だけど、たぶん2キロ以上なら塩分に強い甕(かめ)、ガラス、ホーローなどの容器が良い。

・冷蔵庫での熟成はゆっくりになるので、白味噌や甘味噌にいい。

・天地返しはしなくてOK。10ヶ月後の開封を楽しみに。

・余った麹は甘酒や塩麹、醤油麹などでフレッシュなうちに使う。

今年はいじらしいほど簡単に仕込める醤油麹に。

あー、今年もできた、できたー。年に1度、自宅が軽いカオスになり、先人たちの知恵と、植物の存在に感謝して、友達と家族の存在に最大限の愛と感謝を自覚するたのしき日。
 
米と豆をつくってる親にも写真を送り、嬉しそうな声が聞けた。また友のおかげでひとつ親孝行ができた。ありがたき。
 
 
 

投稿者プロフィール

柳澤円
柳澤 円(やなぎさわまどか)▷ライター/ 編集/ 翻訳マネジメント。主な執筆分野は食・農・環境問題・暮らし▷10代後半から留学を含む海外生活を続け23歳で帰国。英会話スクールの運営に携わったのち都内のコンサル企業に転職。ナショナルクライアントを担当する充実の日々も2011年3月東日本大震災で価値観が一変し、より自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。現在は夫・史樹と共に、横浜から神奈川県内の中山間地へ移り、取材や執筆、編集の傍ら、自家菜園を中心とした自然食と手仕事に勤しむ日々。愛猫の名前はきび。

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2 Comments

  1. とても素晴らしいです
    (´。✪ω✪。`)✧*。