世間が混沌として、誰にもわからない未来が広がっている中、私たちにできることは「行動を自粛して自宅にいること」らしい。

自宅が職場の私は、この先お仕事が減るかもしれない…という気持ち上の不安は常に拭えないでもいるものの、ありがたいことにまだ大きな変化や打撃は受けていない。ちょうど昨日、体は元気なのに仕事が減って「退屈でしかたない」という実兄をちょっと羨ましく感じたりもした。

もともと家で一人で取り組みたいことはたくさんある方で、
このブログの整理や、
着てない服の断捨離、
積み上がった未読の本、
練習できずにいるウクレレ、
下がり切ってる英語力の回復、
剪定されない庭の木々の手入れ、
借りた時のまま手をつけてない家のDIY、
作りかけのハンドメイドやアップサイクル、
オンデマンドでいくらでも観ていられる映画、
…挙げ始めたらきりがなく、この他に仕事のための自己研鑽と、生活に含む食や畑があるので、まあー、どれも時間や体力や予算といったリソースとバランスを取りながら楽しむしかない。やりたいことリストは永遠に短くならない、つくづく多動気質。

で、またもや、ハッ!とするほどクリエイティビティを刺激され、「そうだ、これをやらねばならん!」とお腹の底から声が聞こえるようなことが起きた。

それがこちら。発酵食のセンパイ、なかじさんが新しく出した書籍だ。

「麹本 KOJI for LIFE」大好きな農文協から。

わたしも自宅で麹づくりはしたことあるけど、でも、3日間の工程を今の暮らしの中でコミットするのがどうしてもできなくて、練習を繰り返してスキルアップを目指すことには至らず(そうしてる世界中のお友達を尊敬しながら)自分はプロが作った麹を買わせてもらうことを選んできた。

しかし今、この本を読んで「自分で麹つくりたーーい!」と猛烈に思っている。

3日間?かけるよ、かけるよ、全然オッケー。なんなら何度も繰り返して練習しちゃうよ。上手になりたいからね、麴づくり。だって私の親、米農家だし。

みたいな気持ちが止まらない。長年「わたしにはむりー」とか言っていた気持ちが見事に一変した。それほどまでにこの本でなかじさんは、プロの技を一般家庭用のメソッドに変換してくれている。

コロナ自粛と発売が重なったけど、それもまた意味があるような気すらした。世界中の様々なプロが自分の叡智をどんどん放出して、みんなの自粛時間が少しでもストレスフリーであるようにと呼びかけているのと同じで、今だからこそ、この本を手にして、目には見えないアスペルギルス・オリゼーを製麹で感じる人が増えるはず。

しかもこの本、完全なる日英バイリンガル仕様になっている。わたしも翻訳に関わる一人として、これを丸ごと英訳するのは大変だったろうなぁと想像できるし、担当された方々に心の中で大きく尊敬と感謝を募らせた。おかげで、海外在住の大好きな人たちに贈ることもできた。

この感動は、「発酵食を楽しむメディア haccola(ハッコラ)」でも紹介させていただいた。(記事はこちら

なかじさん、また素晴らしい本を世に出してくれてありがとう!必要な人に届きますように!
 

 

投稿者プロフィール

柳澤円
柳澤 円(やなぎさわまどか)
ライター/コピーライティング/翻訳マネジメント
社会課題と暮らしのつながりを取材し、複数媒体にて執筆。主な関心領域は食・農・環境・ジェンダー・デモクラシー・映画。企業の制作物なども実績多数。
10代からの留学を含む海外生活後、都内のコンサルタント企業でナショナルクライアントの発信を担当。多忙ながら充実の日々は2011年3月に東日本大震災を経験したことで一変、兼ねてより願っていた自然に近い暮らしへと段階的にシフトする。神奈川県内の中山間地へ移り、フリーランスライターを経て2019年、夫・史樹と共に株式会社TwoDoors設立、代表就任。取材執筆のかたわらで自家菜園と季節の手仕事など、環境負荷の少ない暮らしを実践する。書き手として、心の機微に気づく感性でい続けることを願い、愛猫の名はきび。