若い頃、自分のミッションや指針のようなものを長い時間定められなかった私は、仕事でもプライベートでも、人の生きてきた軌跡や、なにかを始めた動機を聞くことに興味があった。
それを聞くことで、自分の生まれた価値を見つけたかったのだと思う。今でもそうだけど、さぞかし暑苦しいヤツだったことだろう。

しかし「私の人生なんて人様に語るようなものではありません。」と、自分の人生を必要以上に卑下したり、謙遜する人もたくさんいた。

私は「私は少なくとも、その人の一生懸命がんばる姿に励まされたのにな。どうしたらこの人に、ご自身の価値に気づいてもらえるのかな。」と考えたすえ、たどり着いたのが自分史だったのだ。

自分史では過去をふり返ることで、人は自分の生まれた意味や存在価値を再認識できる。

つらい過去を掘り起こしたくないという人もいるが、どこかで過去に向き合わないとその恐怖はぬぐえない。

また、過去を見ているのは現在の自分であり、その解釈は変えてもよく、一度自分に向き合い、認め、前向きに未来へ向かうというのが自分史なのだ。
だから「終活のお年寄りが残す書籍」だけが自分史ではないし、その体験は、若ければ若いほど早くから経験したほうがいいと私は思っている。

そんなとき、友人が素晴らしい本を紹介してくれた。

この「じぶんでつくる 6さいまでの アルバム」は、子猫の「プリン」が読者である子どもに「あなたが生まれたときのしんちょうは?」「あなたのなまえは?」など問いかけ、それに絵や文字や写真で答えながら作りあげていくアルバム型の絵本だ。

作者は「ぐりとぐら」の山脇百合子さん。


赤ちゃんの頃の記憶は親がサポートしてあげることで、親も誕生のときの喜びや、成長の経過などをふり返ることができる「親子の自分史」なのだ。
この会話を通じて親の愛を感じるという原体験は、子どもが成長してからも揺るがない自己承認の軸になる。

そしてその子がいつしか大人になり、親がこの世を去ったとき、この本はかけがえのない思い出としてその子の宝物になるだろう。

自分史活用アドバイザー仲間である鈴木元子さんも、同じアイデアで手作りアルバムを作る講座が大好評だそうだ。
自分史のもつ価値をいかした、本当に素晴らしい活動だと思う。

生きるのが大変な殺伐としたこんな世の中で、忙しく時間が取れないまま、子どもが成長してしまい、コミュニケーションに困る親子も多いと聞く。
祝福されて生まれてきたはずなのに、その愛をうまく伝えきれないまま成長してしまうなんて、寂しすぎるじゃない?

時間はいやでも過ぎていくからこそ、過保護とは違う、本質的な愛を伝える術は多ければ多いほどいいと思う。
この本はそれを伝える最高のツールの一つだ。
 
私にはあいにく子どもがいないけれど、新しい命の誕生が一人でも多く祝福される社会であってほしいと強く思っているし、そのお手伝いが自分史を通じてできるなんて、本当に嬉しい。

この「親子でつくる自分史」がたくさんの親子に幸せな時間をつくり、互いの愛を深めてくれますように。

投稿者プロフィール

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柳澤史樹
株式会社 Two Doors 代表社員。
一般社団法人 自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザー。
企業研修プログラム「マインドフルカフェ」メンバー。
ライター・編集・プランナーとしても活動中。